天からのお告げ [旅の抽斗]
旅程に後先が生じてくるものの登場の順番待ちをすると折角の旬が過ぎてしまいますので
サン・セバスチャン滞在最終日に日帰りツアーで訪れたフレンチバスクの内
今回G7が開催された高級リゾート地ビアリッツをまず先にご紹介します
活字になるとフランス南西部リゾート地という表記になるビアリッツですが
北海道よりも緯度が高くなおかつ大西洋に面しているだけに
パリの南西に位置してもニースやカンヌの南仏と比較するとどうもピンときません
実際訪れた時は生憎どんよりとした空模様で時折り雨も降り出す始末で
どこかノルマンディー地方を連想させる雰囲気が漂っていました
今回安倍首相の宿泊先となったオテル・ドゥ・パレはこの地を代表する超高級ホテル
英語表記はHotel du Palais Biarritzでナポレオン三世が王妃のために建てた別荘です
現在はカジノを併設したプライベートビーチ付き絢爛豪華なホテルとして改装され
夏のバカンスにこぞってやってくる各国のセレブ達を魅了して止まないそうです
サミットを間近に控えたこともあってスペインとの国境での珍しい検問にはじまり
ホテル周辺は勿論の事、ビアリッツは警戒態勢突入中でした
にもかかわらず、8月27日朝刊や朝のTVではG7そのものに疑問を呈するほど
厳しい論調で報道されていましたのでなんだか残念に思えて仕方ありません
高級ホテル以外にもビアリッツには小さな宿泊施設が点在しており
一般観光客の受け入れ態勢もそこそこ整っているという印象です
町の観光拠点とされているビアリッツ中央市場へ行けば肩の力もスゥーと抜け
地元民と一緒に豊富な食材に彩られたこの町の台所風景を満喫できます
特に魚屋さんコーナーでは€7で獲れたての新鮮な生牡蠣6個を
ハウス・シャブリ一杯付きで楽しめるセットが陽気な店主と共にウリです
さり気なく着ていた服を褒めるあたりなかなか隅に置けないお兄ちゃんでした
40分足らずの自由散策タイムでしたが市場と周辺を見物するには充分です
独り相撲は勢い衰えることを知らずまたしても周りを引っ掻き回し孤立寸前のところを
貿易交渉妥結で安倍さんから救いの手を差し伸べられたトランプさん
密かにイラン外相まで呼び寄せ支持率低迷の打開を一挙に図ろうと張り切ってみせたものの
成果の如く薄紙切れ一枚の貧弱声明しか発表できなかったマクロン議長
鮮烈なデビューはおろかその存在感すら誇示できなかった強行離脱派ジョンソンさん
経済低迷の重荷と党首引退表明ですっかり影が薄くなってしまったメルケルさん
あんたらおったんかいな、そう言いたくもなってしまうコンテさんにトルドーさん
そうそう、なんちゃんらEU議長さんも参加されてたんでしたっけ
次回G7はトランプさんのお膝元マイアミで親族経営のリゾートを舞台にするとか
この発表にはすでに異論噴出だとかで先が思いやられそうです
果して満面の笑顔かそれとも意気消沈のトランプさんがそこにいるのか
無きにしも非ずで最悪の場合G7そのものが消えて無くなるのか
いずれにしても2週間後にこのような結果が生まれようとは
突然真黒な雲が頭上に現れて大粒の雨が降り出し海から吹き上げる強風が
何やら暗示めいたものであったということは間違いない高級リゾート地ビアリッツでした
異色の土地で、ほんまでっか? [旅の抽斗]
今回の夏休みスペシャルな旅はズバリ、バスクを喰らうです
ピレネー山脈を挟みスペインとフランスにまたがるこの地方は
バスク語というラテン語にまったく属さない独自の言語を操る不思議な土地
ちょっと前までは独立運動が血気盛んで物騒な時期がありましたが
大西洋に面する魅惑的な町々は世界中から多くの観光客を惹きつけています
パリ経由でスペインのビルバオへ入り、ここから車で移動して
今回のメインである食の都、サン・セバスチャンを食い倒す旅
途中、日帰りでG7が開かれるお隣フランス・バスクの町ビアリッツをはじめ
バイヨンヌとサン・ジャンド・リュズもしっかり網羅し楽しんできました
旅の紹介へと入る前に今回の旅を通じてかなりショッキングな事があり
数日前からここ横浜を騒がしくしているニュースとの関連性も無きにしも非ずということで
前節として今号を挟んだ上で進行してまいります
現地の人や他の観光客と話す機会が増えると必ず聞かれることがあるのが
何処から来たの?
日本だと当たり前に答えると、日本の何処?と必ず帰ってくる次の質問
「横浜」という答えの反応は大概の場合は「オォー」でお終いだったはずですが
なんと今回99%の確率で「それはどこ?」とまったく予期せぬ回答を投げかけられたのでした
横浜をご存じないとは、いったいどういうことなのか?
「それは小っちゃな町なの?」と聞くフィラデルフィアのお姉ちゃんも登場する始末
人気TV番組「テラスハウス」の大ファンだというシカゴの兄ちゃんですら
大阪は知ってるけど横浜は知らなかったと私の心をより複雑にしてくれました
今回出合った人達の共通項である日本未踏破がその原因なのかどうかはわかりませんが
大阪の2倍以上暮らす横浜のここまで低い知名度に開いた口が塞がりませんでした
上に登場したお二人はサン・セバスチャンのバル巡りツアーにご一緒した方々で
他にも見事総スカンを喰らった現地ガイドさんを含めた白人観光女子3名共々これまた日本未踏破組
やっぱりこれがそもそもの原因かと酔いが回り出した頭を取りあえず納得させるのが精一杯
この悲劇が後に訪れるパリへ引きずられて行くとはこの時誰が想像できたのでしょうか
個人的にカジノを含むIRの横浜誘致に反対ではない私です
JR関内駅前では早速始まった反対派が林市長への抗議演説を聞き流しながら
ラスベガスやマカオ、シンガポールのカジノ有名処へ行ったことないのかなと
勝手な想像をしながら手渡されそうになったビラを丁重にお断りし家路につきました
ギャンブル依存症誘発と治安悪化が主な誘致反対理由だとはメディア談です
公営ギャンブルとパチンコ・スロットルにカジノが加わると最悪の状態になるのかはわかりません
それより私には今のスマホやゲーム依存症の方が今すぐ対処すべき深刻な問題だと思え
近年世間を恐怖に陥れる不可解かつ許し難い事件多発の方がもっと心配でなりません
じゃあ聞くけど、横浜ってどこへ行って何を食べればいい?
確か4件目のバルでフィラデルフィア姉さんから飛んできた超初心者級質問
実はこの手の質問への回答が一番苦手としてきた私は間髪入れず
日本で一番デカい、中華街へいってくださ~ぃ
姉さん、指で掴んだハモン・イベリコを頬張りながらの大爆笑で一同釣られてくれました
オォー、ヨコハマ!日本初のカジノができた港町!!
そんな答えを期待するのは不謹慎なんでしょうか???
なんとかならんのか、横浜
大地はかく語りけり [旅の抽斗]
前日までの雨ががウソのように眩しい朝日が差し込む部屋のベランダにでて
しばしなごり雲と共演する十勝連峰を眺める富良野の早朝
この日も最近お世話になり続けている地元の観光タクシーで美瑛まで周り
終着旭川空港へ送り届けてもらうというコース取りです
広報並びに観光資料まで自身が作成を担当しているというドライバーさんの出迎えを受け
まずは穴場のラベンダー畑から始めましょうと出発進行です
実益を兼ねた写真好きというドライバーさんは自慢の作品を披露しながら
ここぞという隠れスポットを含めた処を周っていきましょうと心強いお言葉を頂戴します
富良野ワインの敷地にあるラベンダー畑は意外にも混雑を避けてじっくり観察できるとか
ワインの試飲もできる一石二鳥観光ももちろん可能ですからファン受け間違いなしです
ラベンダーというのはね、ここが一番香りを放つんですよ
とドライバーさんが摘まんで指先で潰して見せたのは葉っぱの部分でした
車窓から風景を眺めていて気付いた富良野は広大な起伏大地とポプラと樫の木がポイント
見栄えを意識して作付けされたかのような草花と作物が広大さをさらに助長してみせます
トラクターの走行跡が幾何学模様となってさらに大地をこれでもかと目立たせます
そしてもう一つの特徴と言えば、限りなく真っすぐアップダウンする道路
あの懐かしのケン・メリに代表される北の大地の有名な木々たちの正体、実はポプラでした
隣接地との境界を示す役割を果たしているそうですがかなり大雑把でもあります
境界柵と言うもの自体存在していないようで、景観保護と言う意味では
唐松やモミの木を別荘の境界代わりにする軽井沢と似通ったところアリです
地元従事者の本音はできることなら柵で観光客の農地不法侵入を喰い止めたいところだとか
インスタ映えとやらのせいで農地が踏み荒らされて大変迷惑しています
履物の底に着いた様々なばい菌が不法侵入してせっかく育てた土をダメにしてしまう
これが農家の皆さんを悩ませる本当の理由です
いまSNSで全世界に拡散した有名処の木々を写そうとやって来る外国人観光客
その周りにはあちこち「不法侵入厳禁」の立札が数ヵ国語で表示されており
度が過ぎた場所では断腸の思いで目的の木自体をバッサリやってました
激増するインバウンドと並行して観光公害がさらに深刻化しているニッポンです
ドライバーさんがどうしても連れて来たかったという白樺の回廊がある拓真館
北海道の風景写真を撮り続けた前田真三氏の作品が展示されている廃校体育館跡です
そう言えば車窓からまだ新しさを残す廃校がいくつか確認できました
なんとか再利用できないものかと観光とのギャップを痛感してしまう光景です
そうこうしている内に車は美瑛へと入って行きますが景色が変化しないので気付きません
美瑛に来たからにはここも観ておきますかと向かった先は愛のスカイライン
緩いカーブのすぐ奥にそれがあり、その周りには不気味に大勢人が群がっています
C国人たちはこの木の由来をどのように説明されて来たのか、これ七不思議
ふと外を見やると管制塔と滑走路が見え隠れしたので大地の旅もこれで終了
かと思いきや、もう一か所だけ珍しいところをお見せしますとドライバーさん
車はどんどん空港から離れそしてどんどん山道を登り始めます
すると突然パッと視界が広がり台地のてっぺんらしき所で停車しました
ここ美瑛にもありましたよローラー・コースター道路
どうやらドライバーさんの隠し種らしく最後に大放出でした
日本たばこ御用達の地ではないのかと言うくらい縁の木々たちに別れを告げ
おっ、こういうことだったのかと感心させれるルート取りでアッと驚き空港に到着
郷に入っては郷に従えと、さすがプロ観光ドライバーさんには無駄が全然ありません
レンタカーよりは割高で行動半径と時間の制約は受けますがやっぱり楽ちん
遅くなった昼ごはんは空港でゆっくり食べてくださいなとみっちり観光でお疲れ様
この夏休みも間違いなく大混雑してそうな富良野と美瑛の旅でした
さて、明9日から16日までスペシャルみっちり夏休みです
後半戦への英気復元のため遙か西へ旨いモンを食べに、飲みに出かけてきます
猛暑はまだまだ続きますのでお体を大切にお過ごしください
雨降り富良野ぶらっと [旅の抽斗]
萩の続きは富良野で、ということで2週間後の週末は北の大地です
梅雨がないはずの北海道で初日は本降りに祟られてしまい
ラベンダーにはひと足早過ぎたタイミングでの訪問でしたが
その分観光客の数もピークに比べれば激少ということで
2日間のんびりと過ごすことができました
空路旭川空港から入道しラベンダー号(バス)でJR富良野駅まで1時間
停留所を過ぎるたび雨脚が激しくなって覚悟を決め傘をスタンバイ
駅の隅っちょに隠れてたコインロッカーを見逃し観光案内所で預かってもらい
そのまま歩いて近所の人気寿司屋で取りあえず無難に昼食です
汽車が着そうになかったので駅前からタクシーで富田ファームへ
雨にも負けず大勢の団体観光客で賑わう園内をクルッと廻るも
ラベンダーは三分咲きと言うところで北の冷気が身に染みてきます
本来あるべきカラフルな光景を写真パネルで眺めながらホットコーヒーをすすります
心を落ち着かせるというラベンダーの香りがよく分からなかった私
家に戻って学習すべく実益を兼ね仏壇用ラベンダー蝋燭を購入
それにしても皆さん買い物がたいそうお好きで、どこが個人消費低迷なのか
予定より1本早いノロッコ号を捕まえようと強雨の中ラベンダー畑駅へ競歩
臨時停車駅ゆえ屋根もない自然の洗礼を享けるも無事自由席へ乗車完了
ノロッコだから焦りは禁物でただただ霧がかった車窓風景をのんびりと鑑賞です
富良野駅下車で荷物をピックアップし再び唯一の足タクシーでこの日の宿へ向かいます
車待ちの間、C国人らしきカップルがチーズ工場行きをあえなく断念してました
移動手段は車のみの土地柄、往復タクシー代は予算オーバーとのことでした
ちょっと早めのチェックインとなりましたがその分ゆっくり風呂が楽しめます
十勝連峰を見渡す広大な敷地にラベンダー畑を擁するホテルですが
ここもまだまだ蕾は堅そうということであるべき姿を写真パネルにて確認です
小降りとなっても雨は止まずときましたから、あとは頼みの夕食に期待するのみ
洋食コース料理だったのでここは地元超辛ポン酒じゃなくワインへスイッチです
国産はあまり試したことがないので頼りがいのあるソムリエさんの助言を聞きながら
この夜は白赤オール余市の平川ワイナリー産をいただくこととなりました
国産もかなりのもんじゃのぅ、なんて偉そうに寸評しながら店を出ようとしたところでした
先ほど担当してくれたソムリエさんがご丁寧に見送りに出て来られ名刺を私に
薄暗くかつ老眼でもはっきりと確認できたのはこのお方
何とその平川ワイナリーのオーナー社長だと分かりびっくりしました
JALファーストクラス限定でサーブされたこともあるご自身の名をエチケットに刻んだ白をはじめ
数々の名作を創りだされていることを遅ればせながら後日HPで確認しました
全身の休養へと向かう妻はノンアル一杯で退散したロビーに併設のバーカウンターで食後のマッタリ酒
部屋の冷蔵庫内の飲料とバーでのお酒(一部を除く)はオールフリーと言うシステムは有難いですね
サイドオーダーで3種蝦夷乾き物が来たから飲み逃げにはならないかと変な気遣いもしつつ
他にお客がいないのをいいことにバーテンダーさんとスキー談義で夜も更けて行きます
そうする内に最終ラウンドの夕食を済ませた客人がやって来て私はそろそろ帰ります
久し振りに飲んだIWハーパー12年がダメ押しとなって血圧降下の自覚症状
時に上が90、下が60をも割り込み無性に眠気が襲ってくるので逆らわずそのまま爆睡です
翌日の晴れ間を夢見たかどうかは定かではありませんが
いつもの起床時間までぐっすりと休むことができた北の大地の一夜でした