物事には順序が有り、そして流れというものがあります。
日ごろの行いを振り返ると、それらをないがしろにしたり逆らったり、はたまたスボラを
してスキップしてみたりして、結局上手く行かないケースが多いような気がします。

折角の遠出を台無しにしないためにも、今回のケースは忠実にその決められた順序に
従って行動してみようと、ちょっと頑張ってみました。
私の理解するところでは、伊勢神宮参拝は外宮正宮から別宮、そして内宮正宮から
別宮という順序で周り、この参拝をより完璧にするために、二見浦の二見輿玉神社へ
先にお参りするのがどうも本流らしいです。

伊勢神宮と二見浦では20㎞以上離れていますので、ここは時間の都合上二見浦を
後へ回すことにし、その代りと言ってはなんですが、地元ではここを参らねばお伊勢
参りも片手落ちと言われる朝熊岳金剛證寺に、二見輿玉神社への途中立ち寄る
ことにしました。


外宮の駐車場に到着した時、まだ8時過ぎだというのに既に真夏の日差しは容赦なく
降り注ぎ、猛暑の覚悟をさせられます。表参道から手水舎でお清めをして第一・第二
鳥居をそれぞれ一礼してからくぐり、神楽殿に立ち寄ってから正宮へと向かいます。

衣食住と産業の守護神である豊受大御神(とようけのおおみかみ)を祀る正宮。
鳥居をくぐってからは巨木の並木にすっかり日差しが遮られ、散水車の打ち水のおかげで
その場の空気はヒンヤリと、そして凛とした何とも言えない心地のよい緊張感を醸し出します。

私達の生活に係わる万物を司る豊受大御神を最初に参拝すると言うのは、まこと理に
適っています。あまりにもメジャーな天照大御神の影に隠れた存在で、心なしかどうしても
参拝者のプライオリティーは下がってしまうのでしょう。ですから、なおさら外宮参拝を
お伊勢参りのトップバッターに据えたというのはうなずけるのです。

この正宮の鳥居をくぐると写真撮影は全て禁止されていて、ちゃんと係官が目を光らせて
います。理由は言わずもがなですね。そうでなくとも、不思議とカメラのことはすっかり
忘れてしまう、そんな空気が常に流れているのです。

この後、四つの別宮(多賀宮、土宮、月夜見宮、風宮)を参拝して、元来た参道入口へと
戻ります。

ここは62回目の神宮式年遷宮を記念して今年建造された『せんぐう館』です。
20年に一度、新しい神殿を造り大御神に引越ししていただくと言う儀式で、もう1300年
近く繰り返し行われている伝統儀式で、来年はいよいよクライマックスイベントの『遷御の儀』
が執り行われます。

 

館内では映像、レプリカ、ミニチュア、ストーリー・ボードなどを屈指して、伊勢神宮や神々の
事から様々な儀式について丁寧に展示・解説されています。中でも実物大の神殿の入口
部分は圧巻で、その建造技術を使用される道具類と共に紹介しています。
300円で日本の神々や神宮儀式のことが解る、必見の施設です。

裏参道手前には神に仕えるお馬ちゃんが二頭いまして、そのうちの一頭がこのどこか
気品溢れた彼です。最初見た時微動だしなかったので、てっきり作り物だと思ってしまう
くらい大人しい、落ち着きのあるお馬ちゃんです。

不思議な力に包まれたような気分のままで一礼して外宮を後に、4km程離れた
皇大神宮(内宮)へ移動していきます。幾分駐車場の車は増えたようですが、依然
人出はまばらな様な気がしました。
さあ、お昼までにはまだたっぷりと時間があります。