前記事でTVがつまらないから秋の夜は長いと書きましたが、CATVは時々例外で、
新旧懐かしいやら見たかったやらと、ここのところイイ映画を時々放送してくれますので、
録画してこういう時に観ています。

まずは『岳』、小栗旬と長澤まさみの山岳モノ。お金を出してまで見に行こうとはしなかった
一本ですが、去年香港から帰国途中、食事をしながらパーソナルで観てたところ、偏西風
追い風のためフライト時間が3時間少々と短い上に、この映画、結構長いときてます。

長澤がヘリの救助用ロープを自らナイフで切断して、取り残された要救助者一名のもとへ
落下していくところで機内エンターテイメント終了。つまり一年越しの消化不良が本日解消
されたのでした。あ~~あ、スッキリした。

次は以前にも書きましが、公開当初3,000万?のフィリピン人女性を一瞬にして虜にして
しまったあの名作『プリティー・ウーマン』をデジタル版で、恐らく10回目辺りの鑑賞です。
何をそんなに見る価値があるの?、と言われそうですが、実は単純にあの当時主人公の
リチャード・ギアのようになりたいと思ったからでした。

プライベートジェットで宿泊地のロスからヴィヴィアンをつれてサン・フランシスコのオペラ
ハウスへ出向くなんぞ、なんとスケールのデカイことか! そして、数々のドラマが生まれ
ていくビバリー・ウィルシュアーホテルのPH(ペントハウス)。このホテルはエディ・マーフィー
主演のビバリーヒルズコップでも使われていましたね。

そこで10年位前に遡るでしょうか、あのクールで粋なトンプソン支配人、ヴィヴィアンが
初めてドレスを着て座っていたバーカウンター、そして彼女が思いっきりソデにされて撃沈
したロデオドライブのセレクトショップ等の検証を行うべく、PHではありませんが泊まって
みたのでした。

ちょうど大規模なリノベーションが終わった後だったと記憶してます。支配人が小粋な会話
を交わしたロビー、ヴィヴィアンがあのニーブーツを乗っけて老紳士の口をあんぐりさせた
エレベーター前の灰皿、満席で入れなかったロビーバー、バブルの象徴だったブーメラン
アンテナ付きキャラット・リムジンが停車していたホテルエントランス前など。
『これや、これやがな』と、一つ一つが感激モノでありました。少なくとも私にとっては。

ホテルはロデオ・ドライブのドン突きに建っているポジションにあり、部屋を出てほんの
数分であの異次元空間へ突入できます。世界に名立たるブランド・ショップは勿論のこと、
映画にも登場した、客を見かけで露骨にあしらうセレクトショップが沢山有るのも特徴
でした。ヴィヴィアンもこてんこてんにやられてましたね。

自由の国アメリカ、と言うイメージが強いのですが、現在でも人を身なりで判断したり、
古き階級意識が残る国だと言うと、ちょっと信じがたいと仰る方もいらっしゃるでしょうが
This is America, too なのです。そして主要EU諸国も多分に漏れずそうであります。
劇中のヴィヴィアンのような『モロ・・・風』な格好では当たり前かもしれませんが、訪ねる
場所によって、われわれ日本人は服装も変えた方が無難な場合が多いのです。

まあ、そんなことをこれっぽちも気にかけず、お構い無しでラックやハンガーの商品を触り
まくる潜在的図々しさを持ちあわせているので、ヴィヴィアンのような憂いき目に会わずに
済むわけです。一目瞭然な例として、もし大都市へお出かけの際は是非デパート巡りを
していただくと良く分かります。ただし、ホノルルはごく一部を除き例外です。実に明確に
階層化されている事に気付くはずです。メイシーズには短パン・Tシャツでも問題なしです
が、バーグドルフ・グッドマンへ行く時はおめかしして出掛けましょう。ひょっとすると映画
のようなアグレッシブな応対を受けるかもしれませんよ。

取り留めの無い映画ではありますが、プリティー・ウーマンのDVDが未だスーパーの
ワゴンセールに登場しないのは、その辺に訳があるのではないでしょうかね。
ともあれ自分の気持ちが萎えそうになった時に、いつも鑑賞しているように思えます。