Let's speak Pu tong hua !

中国へ返還後、香港のテレビやプリント媒体でプロパガンダの如く登場し始めたこのフレーズ、
広東語が母国語の香港人に標準中国語を勉強せいや、というプロモーションの始まりでした。
話し言葉だけならまだしも漢字自体の書体が全く違う両語、中国人と接することを業としている
人は問答無用で勉強するのみです。



香港最大のApple Store


中国人観光客が自由に出入りできない香港へ真っ先にやって来たのは、リーマンショック後もそ
の勢いが衰えることのない富裕層のみなさん。鞄の中に人民元や米ドルの札束を押し込んで
高級品を爆買いしていきます。普通に買い物をする日本人観光客のお相手は二の次となって、
すっかり置いてけぼりを喰らいます。

ですから、店員さんの普通語は日増しに上達していき、代わりに英語力は衰退の一途を辿って
いきます。よって、現在街を歩いていても聞こえてくるのは普通語であって、広東語はどこかへ
押しやられてしまいました。いよいよ香港も中国の一部となったか、と感じる瞬間であります。



ラッピング広告をあしらった市電とバスは昔と変わりません


中国から来た観光客は必ずと言っていいほど旅行キャリーバッグを引っ張って歩いています。
最初にこの光景に出合ってから不思議でしようが無かったのですが、今回、とあるショッピング
モールのど真ん中でバッグを開け始めた観光客を目撃して、そうだったのか!キャリーバッグは
ショッピングバッグの代わりをしていたんだと判明しました。

一体全体、彼らの泊まるホテルの部屋はどのような状態なのか、跡をつけたくもなります。

空港免税店の酒・たばこコーナーは暫くの間閑古鳥が鳴いていたのが、一本何百万もするワイン
を販売する特別コーナーまで出現しました。中国のワイン輸入量は他に比べると群を抜いており
商品になるまで待てないとばかり、ワイナリーごと買収してしまえというものスゴイパワーです。

ブランドショップや化粧品売り場も最後のダメ押し買い物と、中国人観光客でごった返しており、
今回の訪問で確証できましたが、香港経済に力強さが戻ってきていること明白で、まさに中国人
御一行さまさまです。

しかし、その一方で香港の物価高が顕著になってきているのも事実です。特に私でも直ぐに実感
できる観光業関連と物販はその急先鋒ではないでしょうか。香港はもはや買い物天国ではない、
そう言い切ったとしても日本人観光客は反論しないはずです。

では、今どきの日本人観光客はどうしているのかというと、空港のフェリー乗り場へ直行してその
ままマカオへ、なんていう人をかなり見かけましたよ。ギャンブルにはインフレは関係ないから
かな!?

でも、私にとってはまだまだ捨てたもんじゃあない香港です。どんなに中国の波が押し寄せて来よ
うとも、その『香港らしい』グローバルな一面は廃れることなく辛うじて生き続けているからです。

次回はそんな香港の一部をご紹介することにしましょう。