See Naples and die
もうちょっと叙情的表現はないものかと思いつつ
4年ぶり2度目に訪れたナポリのサンタルチア湾はこの日も天気晴朗波低し
五月初旬のナポリに吹く風は涼しく朝晩は肌寒いのでした
前回のナポリ観光はほぼバスの車窓見物だったので
アルベロベッロへの玄関口としてどうしても徒歩観光しておきたかったのです
が、ここは一番気を引き締めておかねばならぬと
ローマのホテル出発時にベルキャプテンからそう忠告されていました
海外旅行で気を張るのがセキュリティ部門
毎度の事ではありますがさらに南イタリアモードへレベルアップします
男子のふんどし、海ではその六尺の寸を生かし解けばフカ除けになったとか
ならば同じ寸の私にそう簡単に触手を伸ばす輩は居なかろうと思いつつ
獲物のバックパックにはちょっとした小細工を施します
比較的小柄な南イタリア男子の中においてスリスリさん達も恐らくそうであろうと
作業時間と位置を嫌がるようにしていれば防御強度はアップします
一日中交通渋滞の激しいナポリ中心部からトラムが姿を消していました
現在一部路線のみの運行らしく車社会に追いやられてしまった恰好です
ならば徒歩でと名所旧跡は殆どカバーできてしまうコンパクトな町
昼食は勿論ナポリ名物モッツァレラたっぷりのマルゲリータにカプレーゼ
そして水みたいに安くそこそこイケてるワインたちです
イタリアのタクシーはあの悪評から脱皮しながらイメチェンを図っています
事実ミラノやローマでは主要空港までの運賃が均一化され
両サイドのボディに掲げられている運賃掲示ホワイトボードがその証です
それに引き換えここナポリはまだまだ発展途上
行きのホテルまではどうやらメーターどおりだったようで
帰りの駅までは運転手から行きの料金に€1プラスアルファを領収書らしき紙に書き渡され
これでオーケーかと聞いてきたのでいいよと取引成立
ホテルを出てすぐ朝の出勤渋滞につかまるものの
ここからこの€1が大きくモノを言うことになり
ナポリの抜け道を知り尽くしたかのような見事なハンドル捌きで
映画の逃走シーンさながらのはらはらドキドキの連続
おかげで予定よりもずいぶん早く中央駅へ到着できて思わずブラボーと
妻に声をかけられたドライバーはニコニコ顔で料金を受け取りました
観ずにはこの世を去れないナポリの絶景とはいったい
最初の訪問時は小高い丘から見下ろすヴェスビオ山をバックにした町の光景かと
そう信じて疑わなかった私でした
今回サンタルチア湾を目前の立地に佇むホテルのバルコニーに立ったとき
湾へ突き出すあの要塞の頂から眺める景色が無性に観たくなったのでした