Miller Beer 主催オフィシャルT-shirt 裏面

California-Oregon Over the Border Rugby Tournamanet が始まります。

各自で現地集合となっていたので、私はトムのセリカGTに乗せてもらい出発。
例によってUS101を今度は北上して行くと、あっという間に州境を超えオレゴン州に入ります。
3時間程で集合場所であるオレゴン大学近辺にあるパブに到着しました。
携帯もナビも無い当時、簡単な手書き地図だけでよくも来れたもんだと感心するばかりです。
酒の匂いだけは嗅ぎ分けられるのか、それとも天性の能力なのか?

店の中へ入るとほぼ全員が集まっていて、既にジョッキ片手に盛り上がってる最中。
えっ、明日試合なのにビールなんか飲んで大丈夫なのか、なんて野暮なことを言ったら
ここアメリカでは生きては行けません。 この場もまた流れに逆らわずゆっくりと。

だって無理もありませんよ。 このトーナメント自体の主催者がビール会社なんだから。
ここで全員コーラなんか飲んだら洒落にならない!
と言うことで、ここの酒代は、提供の品を「試飲」すると言うことで殆どタダ#58994;#59120;#59120;

さすがに明日の事も考慮されてたのか、2時間ぐらいでお開きとなり、宿舎へと移動することに。
じゃあ俺について来いとコーチの掛け声の下、我らチーム一同はとことこと歩き出します。
しかし方向が町の明かりの方ではなく、暗がりに浮かぶ不気味な巨大物体の方でした。
「これってスタジアムじゃあないのか?」 トムにそう言うと
「仰るとおり、今宵の寝床でございます。」 と強烈な返答が帰って来るではないですか。

やっぱり、こいつらアメリカ人はカーボウイが祖先だから、こんなこと平気で出来るんだよ。
10月ともなれば外気の気温もぐっと下がります。でもその対策は皆無なので、とにかく着れる物は
すべて身に付ける。 雨露が防げそうなメインスタンド上段の屋根の下に一同陣取ると、
各自ベストポジションを探索。 相方はと言うと、なんとその右手には見覚えのある寝袋を
抱えているではありませんか #59122;#59121;#59121;

こやつめ、こうなる事を知っていたのに教えなかったのか、それとも只の用意周到ってやつなのか??
今更文句も言えまい。とにかく早くベストなポジションで眠ることだと言い聞かせて目を瞑る。
雨がシトシトと降り出したようでした。
ああ~、マウイ島のあの時とは同じ野宿でもこうも違うものか。せめてハワイの夢でも見ながら
眠りたい。 こんな状況では試合どころではない。 俺はオレゴンくんだりまでビールを飲みに
やって来たのか。 試合はどうなる? どうせ一回戦で負けるわ、この分じゃあ。
結局明け方まで眠れず、ほぼ徹夜状態で試合に挑む羽目になってしまったのでした。

コーチが朝飯食いに行くぞと言った声で目が覚めた。 と言うより目を開いたと言った方が良いでしょうか。
昨晩の雨はどうやら上がっていたものの、どんよりした黒い雲が10月のオレゴンの空を覆っていました。
スタジアム内部への立ち入りは出来ないので、どうやらトイレは朝食まで我慢するしかないみたい。
昨晩行ったパブの側に大きなファミレスがあり、やっとの事で暖を取ることが出来一先ずホッとしました。
取り急ぎ食事を胃袋にかき込み足早に店を出て、本日の会場である何とか公園グラウンドへ
重い足取りでたどり着きました。

予想に反して会場の盛り上がりは凄く、何しろ一番目を引いたのはミラービールの馬鹿でかい
移動販売車でした。 こんな朝っぱらから、もうでかいプラスチックコップ片手に会場内を大勢の人が
往来しています。 ビールがあると必然的にあてを出すワゴン車も集まると言う、さしずめ
カーニバル状態だったような気がします。今から思うと...。

しかし、しかしです。この時いったいどう戦ったのか、何勝して何位になったか等、何一つ記憶に
無いのです。唯一覚えている事は自分のポジションぐらいでしょか。
ラグビーをやっていると、一度は部分的記憶喪失と言うものを経験します。
試合のことだけ記憶から消えてしまうと言うものです。 プレーはちゃんとしているのにですよ。
脳震盪が原因でこうなるようですが、私の場合は自己暗示によって意識的に記憶から消し去った
そうとしか考えられませんが。
今度機会があったらトムにあの時の全容を聞いてみようと思っています。


 T-shirt 表面 このシャツだけが記憶を紐解く鍵なのですが