第六話に至ってこの頃の通勤の友となっています。有川浩さん、阪急電車に続き結構オモロイ!

毎日周りのほぼ同じメンツを眺め回し、勝手にその吾人の『本日の具合』なんかを想像して時間を潰
すより、やっぱりこの類の読書は手っ取り早く、しかもアッという間に時間も使ってくれるという一挙両
得なのであります。つまり何も考えずにバッカバカ読めてしまうのがよろしい。

時より思いっきりニヤケてしまう我が顔を、傍らでカラフルでスマートな付箋を英単語帳にいっぱい
貼り付け、必死に『暗記』している賢そうなお嬢ちゃんに、怪訝そうに見られるのがこれまた変な
優越感に浸る瞬間でもあります。

     『おっちゃん』 と 『おっさん』

この定義の違いは私にはわかりませんが、少なくとも大阪ではおじいちゃんの域に届くまで、こういう
風に呼ばれるのです。呼ばれ始める年齢はあくまで呼ぶ人の主観によりますが、初めてそう呼ばれ
た時には必ずと言っていいほど、『お、おっちゃんはないやろっ、コラッ!』と言うネガティブ反応をやっ
ているはずです。

しかし、大阪弁の『おっちゃん』には何かこう親しみが込めらていそうで、私は嫌いではありません。
反対に『おっさん』となると、ほんとにおっさん臭く、しかもどこかドン臭い強いイメージがあり、あまり
好きにはなれません。
そうそう、虫コナーズのおばちゃん達が表で自分の旦那の人称代名詞として使っていそうだから、
尚更です。ちなみに女性の場合は『おばちゃん』と『おばはん』ですから、日本全国の女性はどちらか
選べと言われたら、答えは明白ですよね。

前置きがかなり長くなりましたが、有川ワールドのいいところは世相を上手く反映させて、どの年代
にも『こんなん(こんな人)、おるおる(いるいる)』と同調させてしまうところと、最盛期の元野球解説者
掛布雅之のように、登場人物の心理状態を上手く表現しているところです。それでいて年寄りの
説教をして世直ししましょっ、てな感じが年代的にも心に響いてきます。

もう一つ、この手の本を読む時の私流楽しみ方があります。
好き勝手に登場人物をキャスティングしながら読むと、なおさら臨場感が出て来て、言わば3D読書
が出来てしまいます。

がしかし、佳境に入ろうとしているにも拘らず、未だ主人公の3匹のキャスティングさえも出来ていな
い状況です。3匹のおっさん達はみな還暦の60歳。この年頃の男優さんてなかなか居ないもんだと
初めて気が付きました。タレント年鑑でもあれば別なんでしょうが...。

前作『阪急電車』が映画化された時、告知されたキャスティングはどれも私のとは違っていました。
主役に中谷美紀を思いつくところなんぞ、さすがプロだとうなりました。イメージ的にはちょっと違った
かなと言う感もあるんですけど、ハマってたことはハマってました。

短編6話の組み立てなので、来年辺り映画化のアナウンスがあるのではないでしょうか。
主人公3匹のおっさんを含めて主要登場人物6人全員のキャスティングを見事当てたら2億円、
なんて新手の宝くじやってくれないかなぁ。