シンガポールと同じホテルだから朝食ブッフェもなかなか豪華
特に中華セクションは場所柄かなりの充実感で特に麺コーナーはお気に入りです
ただ残念なことに担当のおばちゃんは中国語しかできないので
片言単語に指差しとアイコンタクトのみの苦しいオーダーで乗り切ろうとします
おばちゃんは何か言い訳してるのですが結果オーダーした麺はいただけずギブアップ
最後に果物を取りに行ったとき麺コーナーのカウンターにポツリと佇む雲呑麺
ひょっとして私のですか、そうジェスチャーで伝えると頷くおばちゃんでした




朝食後地下鉄で最初に向かったのは豫園と老街です
30年近く前初めてここへ朝小籠包を食べに来てその種類の多さに驚き
古い建物と池のコントラストが水墨画のようでちょっと感動した覚えがあります
当時は公園の脇道に早朝から店先で何段にも積み上げられた蒸籠から
白い湯気がもくもくと立ち上がって食欲をそそっていました





くるっと一周してみるも当時の面影はまったくなく
もちろん脇道も今はなく白い湯気は私の中の水墨画の世界です
すっかり観光地化してしまった豫園周辺での名物小籠包は諦め
すわっ、習さん登場かと中国製高級リムジン近くで大変な人だかりも出来上がり
そろそろお暇の時間となったようで次の目的地へと移動です
途中器用なお兄さんから縁起の良い赤い切り絵を購入し持ち帰りました





一人焼肉やカラオケはもうすでにお馴染みとなった日本
中華料理は大勢でというここ中国上海でもどうやらおひとり様が浸透してるようです
昼食がてらで向かった静安寺となりにある上海そごう食堂街での一コマは
厳しい寒さのこれからの季節には最適な火鍋屋さんでしかもおひとり様使用です





手前のポップコーンやスイカそれに青島一本はサービスのお品
好みの具をメニューから選び好みの出汁と薬味たれで食べるというお店は大繁盛
隣で既に姿を消してしまった日本食レストラン跡とは好対照でした
それにしても甘い味のポップコーンにはどんな意味があったのでしょう?

夜の部のスペースをしっかり確保しほどほどで店を引き揚げたあとは
いち早く再開発の手が入ったモダンな南京西路を暫し散策して
8年前に丁度開店セレモニーをやっていたユニクロまでを踏破
途中カフェで一服しながらスマホを一切いじらず最後までケーキを楽しむ
おひとり様上海小姐に何故か関心しながら妻と昔談義に興じました





広大なフランス租界跡にはプラタナスの並木が沢山あって異国ムードを演出します
次回へ持ち越しの復旦大学がある並木通りは静かな佇まいでお気に入りのスポットです
静かと言えばEV化が進むこの国において特に上海はバイクが電動なのに驚き
むやみやたらなクラクションの嵐もほとんど出現せず本当に静かになった上海です

意外に日暮れの訪れが早い上海、そろそろ今回のメインイベント会場へ移動ですが
最寄り駅から一歩外へ出ると大変なことになっていました
大規模な交通規制が実施され行く手を阻まれた半端な数でない人の波に飲まれます
渋谷のハロウィンどころではありません。中国13億人ですから恐怖の何ものでもありません





密集戦よりオープン攻撃が得意でしたがここは目の前にある蟹を目指すしかありません
数少ないスペースに妻とふたり一列体系で果敢に挑んでどうにか抜け出せました
この夜の外灘へのアクセスは人民解放軍の人柱まで登場して全てシャットアウトでしたから
割を食らった観光客は泣くに泣けずで可哀そうなものでした。
恐らく想像ですがあの夜景を独り占めしていた吾人がいたのでしょうね。


ようやくたどり着いた蟹のお店はオールド上海スタイルで割と質素な感じ
大テーブルに相席スタイルでしたが袖すりあうもなんとか
研修に来てた日本人スタッフがこれで十分ですよと勧めてくれた下から2番目のコースに
ここは絶対お決まりの10年物紹興酒をぬる燗でお願いします



これはお店でさばいてもらった妻の雌蟹で私は雄を注文


幾らの蟹を食べたかで面子を保とうとするのが中国人なんだと
上海在住経験がある友人が言ってたのを思い出しながら
一番高いコースまで一応目を通してみた日本人の私です


甲羅の中身が勝負の上海蟹、身は本当に雀の涙ほどですから
コースで出てくる他の料理で楽しむのがいいようです
もうひとつ、日本では中華街でも滅多にない赤酢がここ中国にはあります
フカひれと蟹のスープには欠かせない隠し味となります
上海近郊には紹興酒や酢の産地そしてお茶など実に様々な産物が揃っています






話のタネには十分な上海蟹でもやはり越前や松葉に軍配を上げてしまう日本贔屓
でも、本場の雰囲気で楽しむ事が何よりな体験型グルメとしてなら
一度は試してみても損はないないのではないでしょうか

すっかり夜も更け多少の規制は残るもののあの喧騒は何処へいったのやら
落ち着きを取り戻した外灘近辺にちょっと冷たい風が吹いて
そろそろ冬の準備が始まりそうな上海の街にお別れです
昔なら練炭を燃やす匂いが風物詩の一つでしたがさて今はどんな冬の匂いが漂うのでしょう