クラブラウンジでマッタリ朝食を摂りながら最終日の行動打ち合わせです
外へ出て初めてその事実を知るまで乗る気満々だったケーブルカー移動を中心に
40年前お互い世話になった宿舎探索をはじめとする散策ルートを作ります
ホテルの傍を通るカリフォルニア線が動いてたので疑う余地全くなかった二人




いざ出発してパウエル通りに差し掛かってもいっこうにケーブルカーが現れません
これ見よがしに道路の真ん中まで出てカメラを構えてた私に背後から
「今日から10日までパウエル線のメンテナンス運休だって」と妻の伝達
どおりで下からテクテク登って来る観光客らしき人が多いはずです
って、まさかこのまま歩いてフィッシャーマンズワーフまで行くのか




東西南北と通り名をしっかり頭に叩き込んでおくとまず迷うことがないこの街
あえてスマホの力は借りずにアナログ地図片手に昔の記憶を辿りながらの散策です
歩き回ることによってその街が持ついくつもの顔に出会うことができるのもいとおかし




高級レジデンスがあちこち建ち並んだノブヒルからバンネス通りへ向かうにつれ
空気も様相もグレー味を帯びてきて朝だというのに何やら怪しい雰囲気へ突入です
とそこへ現れたのが妻が半年間世話になった女子専用のレジデンスクラブ
朝・夕食2食付でシャワー共用の格安宿舎です




外観がすっかり綺麗になったと妻が言うこの宿舎は辛うじて空気のボーダーライン上
感慨深げにスマホのシャッターを切っている妻を後ろからパチリとやる私です
この街にはこうしたレジデンスクラブがあちこちにあるようで
短期留学や長期旅行者には手軽・気軽でとっつき易いのではないでしょうか




その空気の境目からさらに奥深くアンモニア臭なんぞもかき分け進むと
おお、あの懐かしの我が家が昔のままで私を迎えてくれました
玄関先でパチリパチリとやってる私たちを怪訝そうに見て行く住人達
おそらく中もほとんど変わっていないと簡単に想像がつくほど昔のままでした
ちなみにここは男女共用のレジデンスクラブ、2食付共同シャワーです


やっぱり当時は若かったし怖いモノ知らずだったのでしょうね
観光客というよりかは地元民で占められてた宿舎は今から思うと別次元
LGBTに夜の蝶、おひとり様老人に訳あり人などが一つ屋根の下での生活
休みの間友人から預かったマニュアル車のクラッチを焼いてしまった事が
この時私にとってこの街での一番苦くて悔しい体験でした
代償として急坂発進・縦列駐車のエキスパートとなったのは言うまでもありません




思いでの噴水は止まるどころか勢いが増してきたところでユニオン・スクエアへ移動です
淀んだ空気が少しずつ爽やかになって行くのを感じていると
街の景色も比較的高層な建物に取り囲まれだしたと思えば突然視界が広がります
残念ながら工事中の箇所や車両があったりして写真通りにはいかないまでも
ここを見下ろすことができるデパートのレストランでゆっくり昼食をとることにしました




テレマカシ兄さんから教わった地元っこに愛され続けるイタリアンのお店
3人以上じゃないと予約を受け付けないファーストカム・ファーストサーブのルール
ユニオンスクエアを眺めて優雅に食べるもその内容は少々軽めにしときます
18時前目安のアタックをするにはあまり胃袋を膨らますのもはばかれますものね




歩き疲れたこともありここは一旦ホテルへ戻ってシエスタです
目当ての店まで往復するエネルギー充電を兼ねゆったり、マッタリ
少し吹く風が冷たく感じ始めた頃にホテルを出発し中華街を抜けイタリア人街へ
映画にも度々登場する二大勢力がぶつかり合ったのは今はもう昔
でも、一本の通りを隔てて看板の言語が全く変わってしまっているのがかなり興味深いです





通りの向こう側に見つけた看板の方へ近づいていくとその一角だけが人だかり
これでも遅かったかと覚悟を決め店内へ入り受付に人数と名前を告げると
20分くらいで案内できるかもと、ちょっと意外な回答をいただきます
2名までならカウンター席があてがわれその分回転率もあがるのでしょうか
いやいや、それにしてもこの店だけが大繁盛とは
テレマカシ兄さんお勧めの料理が本当に待ち遠しくなってきます




海風が冷たく感じ始めた頃時間どおり名前を呼ばれカウンター中央へ
向こう側で慌ただしく動き回る調理人の手を眺めながら
早速サンフランシスコ名物チョッペリーノをメインに生牡蠣と蟹サラダを注文
この夜の主役は海鮮ですから白のハウスワインで一気通貫です
チマチマ注がれる日本のワインと違ってこちらは豪快たっぷりサービスの呑べい天国





トマトベースの漁師料理チョッペリーノはなぜかペンネも入って二人前
蟹サラダは飾り気なしのまんまで登場もお肉たっぷりプリプリ
生牡蠣はというと、やっぱりニッポンのミルキー大粒に軍配が上がりますが
チョット・マッターレ、
シャルドネでもシャブリでも相性抜群の料理の数々でした





長居したつもりでも店外へ出てみればサマータイムのなごり夕暮れ
ほろ酔い気分の頬にさらに冷たくなったベイ・ウィンドを感じながら
再び来た道チャイナタウンを抜けてノブヒルの宿へと戻るのでした
そのまま部屋へ戻るのも惜しかった最終日の夜ですから
道草ラウンジで食後酒などをいただきながら心残りの無きよう旅の余韻に浸るのでした