ランドオンリー・スペインの旅 Part1 でちょっとだけJALマイレージバンクのことに触れましたが、
今日はこのマイレージ会員制度が出来るずっと前の話をしてみましょう。

私がJALの翼(旧鶴丸時代)を国際線中心に本格利用し始めたのは、1986年頃だったと思います。
その頃は現在の様なマイレージシステムなどなく、ただ単にフライトを繰り返すだけでした。
しかし、何度か国際線への搭乗を繰り返すうち、ある事に気付き始めました。最初は気にも留めて
いなかった事でしたが、スチュワーデスさん(現CA)が出発準備をしている中で、制服のジャケットの
色が違うチーフパーサーとパーサーが、座席を回りながら、ある特定の乗客に挨拶をしていました。

『上客、つまりフリークエント・フライヤーだからか?』と言うくらいに解釈し出したのがきっかけで、
それ以来ですが、『何を基準に挨拶するか否かを決めているのか?』が異様に気になり出しました。
でもまさか、スチュワーデスさんに尋ねるわけにもいかず、その後頭の中は搭乗する度に悶々とした
状態となり、イタズラに月日が流れて行くのでありました。

そうこうしているうち1988年のある日、我が家へJALから同様の封書が二通、私と家内宛に届き
ました。結構分厚い封筒だったので、好奇心旺盛の興味津々で封を切ったところ、ご丁寧な文面で
両名をJGC(ジャル・グローバルクラブ)へいざないます、というお誘いの手紙と共にサービスについて
書かれた小冊子だったと思いますが同封されており、『なるほど、これが私を悩ませていた例の
サービスの正体だったのか!!』と、のどに引っ掛かっていた魚の小骨が剥がれ落ちて胃の中へ
落ちて行くように、スッキリ晴れやかな気持ちへと一変させてくれたのでした。

それからすぐに小さな小包が届き中を開けてみると、名前のイニシャルと苗字がヘボン式ローマ字で
刻印されたタッグとパスポートケースが入っていました。つまりこれを以って今後JAL便へ搭乗した際
あの、特別なウェルカムメッセージを毎回頂戴できる、そんな通行手形を取得したという事なのです。
事実、それからというもの着席して程なくすると、チーフパーサーの歓迎を受けるわけなんですね。
時代はバブルへと刻一刻と近づいて行き、カモになってしまったのか、それからというもの仕事も忙し
かったこともあって、毎月のように何処かしこへ飛び回っていました。そしてそれと共にJALから様々
なプレゼントが送られてくるのでした。

まず、度肝を抜かれたのはやっぱり、家内と私へそれぞれ一本ずつ届いた1983年ビンテージの
ドン・ペリニヨンです。ボックス入りで丁寧に梱包された逸品を、この時初めてこの手で触れました。
一本は今でも手元にありますが、もう一本は社内忘年会のビンゴゲームの景品として、不覚にも
出品してしまいました。

程なくすると、今度は横長のこれまたしっかりとした箱が一つ届き、ワクワクしながら荷解きしていくと
中から現われたのは飲み口が金色にあしらわれた、高そうなペアのクリスタルロックグラスでした。
さすがにあのバカラではありませんでしたが、メイドインジャパン・ホヤガラス製で、しばらく我が家の
サイドボードに鎮座していましたが、数年後に敢え無く双方とも崩壊してしまいました。

それからすぐに今度は小さ目の小包がやって来ます。『何が出るかな?』と、またまた上気して封を
開けると、小さなクリスタルの卓上時計でした。今でも元気にチクタクチクタクと時を刻んでおります。
これは確か国際線生涯搭乗マイルが実マイルにして25万を達成した記念の品だったようです。

実は私はつい数年前まで、この生涯搭乗マイルに対するJALからの記念品の贈呈のことは全然知ら
なかったのです。ひょんなことからWEB でこの存在を知り、再び手元に『亀甲タグ』が送られてきたの
を機にJALマイレージクラブへ聞いてみたところ、その時点の国際線搭乗マイル数と国内線搭乗回数
をシステムの説明と共にメールで回答してくれました。その時のシルバー亀甲タグは、生涯マイルが
50万に達成した記念だったそうです。
ちなみにこの生涯搭乗マイルというのは、クラスに関係なく国際線を対象運賃で実際に飛んだマイル
の積算だそうで、国内線の場合は登場回数で積算されています。特典を利用したフリーの搭乗は加
算されません。

こういうインセンティブみたいな物にはつい、コロンとやられてしまう性質なので、搭乗機会がめっきり
少なくなった現在でも、次のステップである75万マイル達成目指して、セコセコやっておりますが
果たしてあと何年掛かりますことやら。

現在のマイレージシステムになってJGCのステータは、過去の様な華やかさはすっかり鳴りを潜めて
しまい、ダイヤモンドやサファイアの陰にすっかり隠れてしまいました。ですから国内線搭乗も敢えて
プライオリティーからは外されており、その他大勢の中に混じって行なわれます。唯一、JALカードA
会員であり続ける限りJGCの資格がなくなることは無く、国際線優先搭乗や手荷物優先引渡し、
サクララウンジ使用など旧来のサービスは受けることが出来ます。

あの時JALは本当に凄かった。
しかしそのツケはあまりにも大きかったのはご承知の通りですが、リストラの大ナタを振るった成果が
出て、今秋の再上場を目指しているとのこと。しかしながら最強のパートナーであるアメリカン航空が
破産法を申請したことで、いったい今後はどういう展開となって行くのか、まったく目が離せない状況
となってしまいました。アメリカン航空を巡ってはデルタ航空やUSエアが触手を伸ばそうとしているら
しいですから、もしそうなるとワン・ワールド・アライアンスはいったいどうなってしまうのでしょう?

ああ、どうやらまたJALのせいで頭の中がモヤモヤしてきたようです。