意外にあっさりと白い煙が立ち上ったシスティーナ礼拝堂とそれを国中に知らせる鐘の音。
今回のコンクラーベは脱欧州と囁かれていた通り、初めて南米大陸アルゼンチンからの法王
誕生でした。

そんな中、ここ日本の渥美半島沖では遥か海底から湧き出させたガスが、白い煙ならぬ立派な
炎となって煌々と明日の日本エネルギー政策に明るい灯火を点けました。アメリカやカナダの
陸上採取とは違って、海底だけにかかるコストが半端じゃないそうですが、そこはほれ、得意の
技術力の結集で現時点の輸入価格よりも安く精製できれば上出来ではないですか。

今回、この世界初である海底のメタンハイドレートからガス採取に成功したのは、日本が誇る
ケッタイな恰好をした資源調査船「地球号」。船体に高見ヤグラの様なボーリング用の設備が
船全体の形を奇妙にしているのです。

この年明け、出張で静岡jへ出向いた時のこと。常宿の予約が満室で取れない事態となって、
急きょ何とか別のホテルで部屋を確保出来たという事が有りました。チェックインの際知りたくて
しようが無かったこの混雑の理由、開口一番にカウンターのお姉さん聞いたところ、「地球号が
来ているんですよ!...。」でした。

次郎長親分でお馴染みの清水港に停泊中だった地球号、色んな式典や催し物イベントなどで
大勢の関係者が一同に会してこうなったという訳です。遠巻きに高速道路の上からですがその
雄姿を目視でき、全く関係ないのですが、大事な場面に遭遇したという微かな喜びみたいなもの
を感じられたようでした。

思えばこれが今回の採掘実験航海の前哨戦だったようで、この日本近海に100年分は有ろうか
と言われているメタンガス、大震災対策の国土強靭化への多額の投資はもちろん大切でしょうが
将来の明るいエネルギー政策展開のためにも、こうした先行投資は惜しみなくやってもらいたい
ものであります。

特に今回の実験成功はCO2排出制限には逆行してしまいますが、脱原発へ向けた大きな一歩
を踏み出したと言えるでしょうし、アメリカと同様にこうしたエネルギー革命を国富・発展の起爆剤
として大いに活用できるのでないでしょうか。


嵐の中を航海中、帆船のマストポールに突如として現れるセントエルモのふたつ火。出現と同時
にその嵐が突如治まるという言い伝えがあるのは、映画『白鯨』でもお馴染みのシーンです。
TVの画像や新聞記事で船尾のパイプから炎を吹き出す地球号を観ていて、この国を覆い尽くす
数々のを吹き飛ばしてくれそうな、そんな気がして来たのでした。