フランクフルト国際空港で久し振りに自由搭乗のエスカレーターにお目にかかったものの、律儀に左側
に乗ってる自分が可笑しくなりましたが、場所をパリへ移すと状況は一変します。

エスカレーター自体が日本に比べると少ないパリ市内ですが、地元フレンチもちゃんとやってましたよ、
片側搭乗を。さて、おフランスではいったいどちら側なんでしょうか?

正解はなんと 右 側なんですよ!


何処かと似てませんか??

そうですね、大阪と香港ですよ。そして、私の頭の中の点と点がとうとう結び付いたんです。

フランス人って、ハッキリ言わせてもらうと、もの凄く い・ら・ち だったんです。


 


〈検証事例その1:列車内での出来事〉 
車内へ入るとメインのスペースから隔離され、やたらと空いているセクションがあったので迷わずそこに
着席し家内とおしゃべりし出したところ、後方先客のオッチャンが、「ここはクワイエット・セクション
だから...ね」と一言注意されます。

「それはどうもすみません」と謝って以後の私語は慎み静かにしていたところ、さっきのオッチャンの席
から雑誌のページをやたらと引き破る音が聞こえてきます。ビリッ、ビリッ、ビリビリビリ~~~。

早いはずの列車が時々減速したりして、ついには停車してしまった時でした。フランス語のアナウンスが
あるだけで状況は分りませんが、オッチャン、なにやらブツクサ文句を言い始めます。おそらく「なんでや、
どないなっとんや、ええ加減にせんかい!」とまあ、こんなところでしょう。居合わせた検札係も怪訝そうな
顔をしていました。

オッチャン、あんたが一番うるさいねん!! フランス語で突っ込めたらどんなに気持よかったことか。



〈検証事例その2:渋滞時の運転マナー〉
まず、タクシーの運転が荒っぽいことこの上なし。トランスポーターの見過ぎ。クラクションの鳴らし過ぎ。
ここはC国かと錯覚するくらいうるさい。そして、バイクと車のせめぎ合い、見ていて面白いが、時折両者
に殺気を感じてしまったのは私だけか!?



〈検証事例その3:ストラスブールの自転車天国〉
ヨーロッパでは自転車専用レーンの整備が行き届いていますね。安心して愛車を乗り回すことができる
ようですが、歩行者にしてみれば万国共通で自転車は凶器そのもの。

一番内側の歩道から自転車道、そして車道の順になっているストラスブールの街中でのこと。信号待ち
をするため立っていた私の立位置がこの自転車道にかかっていたらしく、急に現れたスポーツサイクル
&ヘルメット・ユニフォーム姿のオッチャン(たぶん)に、フランス語でボロカスに注意されました。

「こらっ! どこ立っとぉねん。危ないやないか、ボケ、カス」みたいな感じでしょう、おそらく。この
情景を見ていた傘帽子売りのアフリカ人のオッチャンから「なんやろね、あいつは」と言うような同情目線
をもらい、私も両手を広げ肩をすくめたポーズで「わかりましぇ~ん」と返します。

明らかに観光客と判る者にそこまでは言わん。酔っ払いの自転車だったら日本でも起こり得るだろうけど、
ロードサイクル・レーサーみたいな出で立ちで、おまけにいい年した大の大人がする事か!?

おかげで信号一回見逃してしまい、次を待つ間に家内にそう言う私でした。橋の向こうを見やればさっき
の吾人が自転車を停め、ご丁寧にまたこっちの方を見ていたのには呆れてしまいました。よっぽど中指
立ててやろうかと思ったけど、そこは一国を背負った大の大人、グッと我慢の子でした。



とまあ、挙げればまだまだ出て来そうですが、どうやらこの「いらちさ」はフランス人の生活様式に起因
しているのではないだろうかという仮説が立てれそうです。

カジュアルなレストランに入れば間違いなく狭いスペースへキュウキュウに詰めて座らされます。
トイレは申し合わせたように何処も2階にあり、こんなモノよく作ったなと言いたくなる急で狭い螺旋階段
を上らなければいけません。きっと、一般のアパート暮らしも似たようなものなのではないでしょうか。

フランス人が思ったほど大きくはない所以です。だから、きっと日本へやって来ても風習と言葉の違い
意外、生活するのに何の抵抗も感じないはずです。ゴールデン街や野毛の呑み屋へもきっと抵抗なく
行けることでしょう。

パッとしないユーロ景気とフランス自体の脆弱な経済のせいも勿論あるのでしょうけど、こうした日常生活
の中で受けている「空間の抑圧」みたいなものがストレスとして蓄積され、それらが時々色んな形となって
解き放たれているのでしょう。



新たな発見と共により一層溢れ出て来た親近感、是非ともまた戻って来たい街の一つ、それがこの花の都
パリなのです。