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さあ~、夏休み‐PartⅡ [留学生日記]

早朝、ドミトリーを出発し快調にUS101を最低制限速度で南下。
マークレイマン号はダットサン・ピックアップをキャンピングカーに自作改良された十数年選手である。
キャンピングカーと言ってもおよそ居住しながら旅をすると言う、本来の機能はとっくの昔に
果てたらしく、本体はほぼ荷台化していて畳半分くらいのスペースが唯一の居住空間だ。
従って、運転席に3人が並んで座り、残り1名がこのカーゴルームで過ごす。
足をフルに伸ばすことは出来ないが、背中の辺りに程よく柔らかい物体もあり、意外と心地よかったため
サンフランシスコまでの行程は、私がボランティアとして占拠させてもらうことにした。

サスペンションの具合が良い(?)せいか二・三十分もしないうちにどうやら爆睡に入ったらしい。
首を左右に振るとちゃんと外の景色を眺めることは出来るのだが、いかんせん同じのが永遠に
続いていくので、羊を数えてるのと同じ状態になる。
どの位経ったのか、外からドアを開けられて初めて目が覚めた。

『 オイ。 オキロヨ! アサメシ タベヨウ ゼ。』

どこの町かは覚えていないが、車は一軒の食堂の前で停まっていた。
古ぼけたたたずまいではあるが、これぞアメリカのダイナーズと称賛したくなる雰囲気が漂う。
思わずホール&オーツの『アバンダンド・ランチョ
ネット』を思い浮かべずにはいられない。

話は少し逸れるが、私はレコードでこのアルバムを持っていいる。 ここ暫くはデジタルサウンドに
浸りっぱなしだが、そろそろこんなお宝達を久し振りにターンテーブルで鑑賞してみたい。
中でもA面3曲目の『ラスベガス・ターンアラウンド』が好みである。 別名CAソングだ。
近年の不況でどの航空会社も経費節減のため、往復の便を同じキャビンクルーでやり繰る。
仕事でよく使っていた香港線なんかは最たる例ではないだろうか。 国際線のターンラウンドは大変だな。

この便に搭乗する度なぜかこの曲を口遊んでしまうのだ。

サバイビング・ランチョネットを後にし再びUS101 Southへ戻り、矛先を向け一路サンフランシスコへ。
そう言えばマークが観光がどうたらと言っていたが、いったいどこへ連れて行ってくれるのだろうか。
そんな思いもよそに満ちた胃袋はすぐさま眠りを誘ってしまう。 
心地よいサスペンションの軋みと縦・横揺れでまた夢の中へ。

どれほど走ったのかは分らないが、今度は一人で目が覚めふと窓の外へ目をやると
ちょっと違った風景が目の前にあった。 なだらかな起伏に何やら丈の低い木が規則正しく並んでる。
明らかにUS101から外れていることは分ったが、どこを走っているかは皆目見当がつかない。
そうこうする内に、平屋建てのレンガ造りの大きな家の前の駐車に車は停車した。

『 ココガ ドコダカ ワカルカ ?』

『 ワカルワケ アリマヘンガナ 』 と思いつつ入口の看板に目をやると
「 ◯×△ワイナリー」 とある。 そうか、ここはワイン屋さんか。

ここは32年前のソノマ・ヴァレー。 今では隣接するナパ・ヴァレーと共にカリフォルニアを代表する
ワインの産地に発展しており、その中のとあるワイナリーにお邪魔していると言うことだ。
中へ入るといろんな種類の(当時の知識ではこれくらいの表現しか出来ない)ワインが陳列され
その奥のカウンターでどうやら試飲が出来るようだ。

当時あまりワインというものを嗜んだことがなかったせいか、どれが美味しいとかは正直分らず
注いでくれる物全てを口へと運ぶ。 今から考えると、あの頃に直ぐにでも
タイムスリップしたいぐらいだ。

ソノマと言えば、今から15年位前だろうか、大阪から一人の日本人青年がワイン造りを目指して
この地へやって来た。 彼の名は私市(きさいち)友宏さんと言い、実家は苗字と同じ地にある酒屋さんである。
そして1999年、彼が苦労して育てたメルロー種の葡萄から、ついに一本のワインが誕生した。

その名は 幻 Maboroshi である。

旨いワインだと自分は思うので、よろしかったらお試しあれ。 他にピノ・ノアールがある。

Maboroshi.jpg
 
Maboroshi Merlot 2001

ほろ酔い加減で駐車場へ向かい、結構素面なマークにハウスへと促されて出発である。
ここがソノマと言うことはいよいよサンフランシスコはもう直ぐそこだ。
ハイウェーに戻ると辺りの景色も頻繁に変化し始め、窓の外に目をやるのが忙しくなって来て
おちおち居眠りしてる場合ではなくなった。

さあ、もうすぐ私の長旅も終わり新しい生活が始まる。


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