秋の夜長の思案橋ブルース [留学生日記]
牧歌的なこの町と大学には似付いても似付かないほど、騒々しい新学期の始まりとなりました。
まずは我々の新学期始まって間もないある週末の引っ越しです。
予てより相方のトムが3・4年生専用の寮への移動申請をしていたのが、ポッカリと空きが出来たと
言う事でOKになったのです。
引っ越し先の新しいドミトリー。我々の部屋はPHの一つ下です。
斜面に建てられた当時としてはモダンな建物で、元の1・2年生用とは格段に違って、ちょっと
セレブな趣すらあります。部屋も一回り大きくなり、おまけに前住人が使っていた二段ベッドを置いて
行ってくれたので、フリースペースが随分増えましたし、フロアの中央にはこれまた
リビングスペースとキッチンがあって、さながらちょっとしたマンションのようです。
トムのおかげで2年生の私が恩恵を受けることに...、感謝感謝。
住環境が大変静かになってガラリと変わり、勉学に打ち込むには申し分ないと言ったところです。
10月に入り季節もすっかり秋めいて来て、にわか一人思いにふけるには最適です。
そんな思いの中に、これからの私の人生を左右しかねない事柄がありました。
それは私が所属しているこの大学の経営学部のことです。
このままこの小さな田舎の大学の、しかも弱小学部を卒業する事が、果たしてベストな選択なのか
どうか、この夏休みの間中ずっと考えていました。
学校の事だけではなくその先の就職の事を考えると、ここいらで一つの変化が必要ではないか
そう思うのでありました。
当初の目的であった更なる英語の上達と大学進学は達成された。では、次のステップは何か?
当時の成績で大学のランクアップは問題なかったのですが、その分授業料や生活費も比例して
上昇してしまいます。今以上の負担を親に強いるわけには行かない。葛藤が始まりました。
以前ハワイの学校で一緒だった友人が、自分の通うハワイ大学の資料を冗談半分で私宛に
「帰って来いよ」のメモ付きで送ってくれ、本棚の片隅に置いてあったのをふと思い出しました。
改めてよく読み返してみると、この大学には交換留学制度と言うものがあって、その対象となって
いる国からやって来る留学生には、特別に学費の優待が認められると書いてあるではないですか。
勿論、いくら学費が格段に今より安くなったとしても、果たしてここより遥かに物価の高いハワイで
大丈夫なのか?そもそもお金の問題だけじゃあなく、肝心の経営学部の質はどうなのか?
引っ越し早々頭の中で色んなシュミレーションが始まってしまい、周りの環境とは正反対に
騒々しくそして忙しくなって行くのでした。
年明けから始まる春学期(ハワイ大学は2学期制)に編入するための願書締め切りは10月末日
あの時からだとざっと3週間後に迫っていました。
さあ、どうする?
週明けの月曜日にはもう私は学生課の担当者と、色んな打ち合わせをしていました。
潜在的に心の中でハワイへ戻りたいという気持ちがあったのか!?
私自身、転校するのに一番重要だった事は、取得した各科目の単位を転校先に如何に無駄なく
受け入れて貰うかに尽きました。一教科でも撥ねられるとそれだけ卒業時期にも影響してきます。
学生課の担当が親切に先方の担当者とやり取りしてくれたのですが、どうしても4教科分は移行
出来ないと言うつれない返事が返ってきました。
4教科分と言うと一学期の3/4に値しますから、ハワイ大学での卒業が半年伸びてしまう訳です。
さあ、さあ、ほんまにどうすんねん??
このままここに残るか?はたまた強行するのか?それとも別の策を生み出すか??
運命の分かれ道!!
次号へと続きます
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