年男=当たり年 [留学生日記]
まさしく1981年は私の干支、そう、年男なのでした。
「一年の計は元旦にあり」、正月気分の無いアメリカでは、気持ちの切り替えが至って
簡単なのです。日系人の多いここハワイでも、皆2日から行動を開始です。
大学へ進んだ当初、私の基本計画ではこの当たり年に卒業する、と言う文言が一行ありました。
しかし、以前お伝えした通り、転校によって失われた単位が一学期分相当になってしまい、予定が
狂い出しました。
ただ、この一年間で多少の遅れを挽回することが出来て、夏期講習をダブルで受講しつつ、残り
2学期間をフル稼働すれば、難なく目標をクリア出来たのです。
でも、ちょっと待てよ。本当にそれでいいのか?
自問自答が始まります。
正直言って、学部の教科はどれも役に立ちそうでした。
現に4種類も受けた様々な簿記の授業は日本でも速戦力となり現在に至り(専攻では無いのですが)
マーケティングやファイナンスも会社を営んで行く上で大変役立っています。
そうそう、ドラッカーも忘れてはいけませんかね。
選択可能範囲以外の科目にも、実は興味深いものがあったので、ここは一つ、余裕と満足をもって
ニールブレズダルセンターではなくて、5月に本校キャンパスで卒業式を迎えたい。
そんな気持ちのウェートがどんどんと大きくなっていき、気が付いたら目標を半年繰り延べていました。
日本で就職することを考えると、タイミング的には12月卒業の方が何かと都合がよいのでしたが。
両親には更なる負担をかける事になってしまいましたが、人生最初で最後の留学体験になるのなら
なおさら残りたいと言う気持ちが強まるのでした。
気持ちに余裕が出来たからかどうかは知りませんが、この学期から新たに始まる事が多くなった
様な気がします。
前号でハワイでの日本語放送テレビの話をしましたが、ラジオにもK-ZOOとKOHOと言う二つの
日本語放送局がありました。
このKOHOで毎週日曜日の夜、我が家の恩恵を受けた第一号の学友ともう一人の学友がDJを
やっていました。この番組、どうやら彼らの先駆者から引き継いだらしく、ハワイ大の留学生が
ボランティアで(不法就労は強制送還となりますので)代々引き継き継がれて来たそうです。
KOHO自体のターゲット・リスナーは日系人の皆さん、ハワイへ赴任している人達とその家族
我々留学生、そしてこれは意外と思われるかもしれませんが、ハワイ近海で操業するマグロはえ縄
漁船の乗組員の皆さんで、通称、『御船のみなさん』です。
番組のターゲットはその放送時間帯が午後9時から11時55分までと、深夜時間帯となりますので
若い世代の日系人と赴任家庭の中・高生、そして留学生と言ったところでしょうか。
たまに時間がある時、よく冷やかしで遊びに行ってたら、そのうち流れで、転校当時世話になった
友人Bとともに放送ブースの中にいることになったのです。
番組は日本のポップミュージックをリクエスト交じりで流したり、リスナーと会話したり、日本の最新
情報を伝えたりと、ちょっとオールナイトニッポンを意識した感じだったでしょうか。
御船のみなさんをないがしろにしないようにとの、局からの要望もありましたので、気に入った演歌も
バンバン流してました。 サブちゃんに一郎さん、亜紀ちゃんと言う風に。
3時間にも及ぶ公共電波を我々日本人留学生に託すと言う、大胆な発想がハワイアンだなと思って
いましたが、よく考えてみると、安息日の日曜日に、しかも夜中の12時まで局に詰めていったい
誰が好んでこの仕事を引き受けるのだろうか?
故に、留学生が代々この番組枠を受け持って来たという回答へと至るのでしょう。
従って、何から何まで自分たちでやることに徹底していました。
番組中に放送するスポンサーCMとステーションブレイクの時間割のみ、きちんと進行表に記されて
ましたが、後ははっきり言って我々のやりたい放題。ただし、勿論、放送コード絶対遵守ですよ。
別室に局の責任者は居ましたが、一度たりともお叱りを受けたことはなかったと思います。
プロデューサ、ディレクター、ミキサー、タイムキーパー、そして放送作家。全部やりましたよ
しかしこの中で、タイムキーパーと言うのはいささかインチキ臭かったですね。
と言うのも、スポンサーCMもステーションブレイクも正直言いますと、きちんとオンタイムで放送されて
なかったのです。今思うと、かなり恐ろしい事ですが、これもハワイでの出来事。何事にも寛大な
土地柄ですから、恐らくエアチェックが入ってどうのこうのと言う問題にはなってなかった!?
そう 願いたいです。 ほんと、今更ですけど。
ただ、こんな我々でも絶対と言っていい程、時間厳守していたのがニュースと天気予報のコーナー
でした。
ニュースは勿論日本のです。天気はローカルですよ。
ステーションブレイクも自前で作成していたので、今まで殺風景だったこのコーナーにもちょっと
演出をと考えて、お天気のコーナーにBGMを流すことにしました。 アール・クルーです。
このハワイ最終の日本語ニュースと天気予報を担当していたのは、何を隠そう、この私です。
それでは最後に、ホノルル、パールシティー、裏オアフ方面の明日の天気です。
残念ながらKOHOはもうハワイにはありません。
つづく
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