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この国を憂う ‐ 大学9月新学期制を考察する [多事の抽斗]

  東大が欧米英語圏諸国に倣い新学期を9月にしようと計画していることは、何週間前かのTV
や新聞で大きく取り上げられてきました。この記事が出た途端、『うちも計画してまっせ』という
大学がいくつも出て来たり、『そんなことしたら新卒の採用、どうしまんねん』と、経団連がやり返
す。

さながら朝まで討論会ならぬ Pros&Cons(賛成&反対)の応酬合戦が繰り広げられ、ようやく
落ち着きを取り戻したというか、いつもの『飽きたらそれ以上は突っ込まない』マスコミの姿勢と
いうか、
お決まりの申し合わせかのような手仕舞いで、知らぬ内に静かになってしまいましたね。

この件に関して色んな記事を読み漁りましたが、『なんで今更9月やネン?』と、私の素朴な疑問に
きちんと応えてくれる媒体は残念ながら皆無でした。それどころか、イギリスの『ギャップ・イヤー』
か何かをやたらと引き合いに出して、訳の分らない解説をやっていたのにはさすがに嘲笑せずは
いられませんでした。ヨーロッパの大学の事は正直よくわかりませんが、アメリカの学校制度の
新学期が9月であるという事実は声を大にして言えます。

でも、こと大学となれば2学期制もあれば3学期制もあって、新学期が9月だということだけで、
入学はどの学期からでも出来ますし、卒業もまたしかりです。アメリカの学校制度の事を詳しく
調べたわけではないので、どうして9月が新学期になったかは知りませんが、少なくともアメリカの
大学で学ぶ学生の素性やバックグラウンドを知れば、新学期が9月であろうがなかろうがあまり
関係のない事に当時私は気付きました。というのも、在学中に一旦大学を離れて就職し、また
大学へ戻ってくるという人をたくさん見て来たからです。ですからクラスメイトの年齢幅が非常に
広かった記憶がありまあす。


私個人の意見としては、新学期はやはり桜咲く4月がこの国には一番しっくりきてると思います。
世界広しと言えど、こんなにハッキリとした四季がある国は日本だけと言っても過言ではないで
しょう。だから日本文化にしっかり根付いたものを、特段説得力のある理由もなしに何を今更
英語圏の習慣に倣う必要があるのでしょうか? 

ギャップイヤーの間に留学経験や企業のインターンシップに参加して、様々な経験を積むなんて
ことが声高に9月を新学期にする理由に挙げられていますが、留学経験者から言わせてもらえば、
半年やそこいらで滞在した国の一体何が分るのかと大きな疑問を持ってしまいます。
インターンシップにしても企業が内定や内々定を出す前のこれはと思う学生に、学期間の休みを
利用して参加させれば良いことなのです。ミスマッチを少しでも減らせる良い方法ですし、内定取り
消しトラブルもこれで回避できます。

新学期をわざわざ今更9月にしなくても、アメリカのように学期毎に入出の門戸を開けておけば
いいのです。留学したい人には現在でも休学という制度があるのだから、そうして2年でも3年でも
気の済むまで行って来ればよいのです(お金が続く限りですが...)。在学中に働きたければ一旦
大学を離れてそうすればいいのです。

肝心なのはそういう選択をした学生を大学や企業がどう扱い、受け入れるかではなのでしょうか?
『新卒神話』みたいなものが蔓延った日本のリクルート土壌は、ちょっとやそっとで改良されるもの
ではありませんが・・・・・・・。

大学は果たして4年ストレートに出るに越したことはないのでしょうか?
企業の採用担当者がパリパリの新卒者ばかりを今まで通り採用しなければいいのです。ユニーク
な人材が欲しければ、プロスポーツのスカウトのように企業がそのような土壌を現在のルールに
縛られずに創って行くようにすれば、希望の大学に苦労して合格した学生はお目当ての企業の
ドラフトにかかるようにと、引き続き一生懸命勉学に勤しむことでしょう。


余談ですが、アメリカの有名大学院は成績だけで学生をとりません。『こいつ、おもろいなぁ』という
学生を常に探しています。というのは、アメリカの大学は公私ともに企業や卒業生からの寄付で成
り立っている部分が多く、ユニークな研究が出来る学生を抱えることで、企業からどんどん寄付を
引っ張ってきます。学生もまた、そういった企業でインターンシップを行ない、チャッカリ自分を売り
込んで来るんですね。おまけにちゃんと給料まで貰って来るもんですから、学費や生活費の足しに
なる、親孝行まで出来てしまう。こういうシステムが偉大な起業家達をも生み出して来たんですね。

まあ事の発端がかの University of Japan の東大だけに、なんとか軟着陸となるんでしょうが、
これに追随する大学がみな、アタフタとならないことをただただ祈りたいものです。

     仏作って魂入れず

何時しか日本のお家芸となってしまいました。全く残念!!


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